人間ドック解体新書

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腹部超音波検査(脾臓・大動脈疾患)

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ども、エコー技師です(*゚∀゚*)。

 

今回は、腹部超音波検査でみつかる代表的な脾臓・大動脈疾患についての説明です。

 

腹部超音波検査は腹部CT検査と違い被爆がないため人間ドックのスクリーニング検査として行われることが多いです。

しかし、所見をみてもそれがなんなのか本当に経過観察で良いのかどうか不安になることがあるのではないでしょうか?

疾患の原因・良性or悪性・経過観察もしくは精密検査(必須or推奨)が必要かを解説していきます。

 

 

 

脾嚢胞

 
 

【原因】脾臓の隙間に体液が入り込んでそれが溜まって水が入った袋状のものになりできる。炎症によって水ぶくれのような状態になったりすることでできる。

 

 

【良性or悪性】良性

 

 

【経過観察】6ヶ月〜12ヶ月に1度

脾嚢胞は基本的に良性です。

まれに嚢胞成分をもった悪性腫瘍も存在しますので、嚢胞の性状が変わってないか、サイズが増大していないかなど経過観察が重要になります。

 

 

脾血管腫(もしくは脾腫瘤)

 

 

【原因】細い静脈が一部ぐにゃぐにゃ複雑に絡み合ってできる。毛細血管の一部増殖によってできる。

 

 

【良性or悪性】良性

 

 

【精密検査】推奨

脾血管腫であれば良性ですが、肝血管腫に比べて脾血管腫は稀 であり初所見の場合は本当に良性疾患なのか調べるために精密検査となることがあります。

 

 

脾腫(脾臓の長径が100mm以上)

 

 

【原因】脾臓は肝臓に栄養を送る血管(門脈)と繋がっています。門脈のゴール地点である肝臓に障害が起きていたり門脈自体に癌ができた場合に血流の流れが止まってしまい脾臓が血液を排出しずらくなりパンパンに腫れてできます。

 

 

【良性or悪性】脾臓の長径が150mmを超えてくると肝硬変や悪性腫瘍が潜んでいる可能性が高い。

 

 

【経過観察】1〜6ヶ月に1度

脾臓の大きさが100mm〜150未満の場合は生まれつき脾臓が大きい可能性や若い人の場合は脾臓が大きい(加齢とともにハリツヤがなくなってしぼんでいくイメージ)傾向がありますので経過観察となることが多いです。

脾臓の大きさが 150mm以上になると肝硬変(肝臓に重度の障害)や門脈自体に腫瘍が潜んでいる可能性が高くなるので精密検査が必要です。

 

 

副脾

 

 

【原因】生まれつき脾臓の近くにもう一つ小さな脾臓ができているもの。

 

 

【良性or悪性】良性

 

 

【経過観察】12ヶ月に1回

副脾は生まれつきできているものです。サイズの変化がないかどうかだけ経過観察で問題ありません。

 

 

 

 

 

脾腫瘍

 

 

【原因】脾臓細胞が癌化してできます。

他臓器の癌が転移してできている場合もあります。

 

 

【良性or悪性】悪性

 

 

【精密検査】必須

脾腫瘍は悪性ですので必ず精密検査が必要です。

ただし、腹部超音波検査で脾腫瘍と診断をされても類似する所見を示す脾血管腫などの良性疾患であることもあります。

 

 

 

腹部大動脈瘤

 

 

【原因】動脈硬化・高血圧で大動脈壁が厚くなったり膨らんだ状態。

 

 

【良性or悪性】大動脈径が50mmを超えると精密検査・治療が必要

 

 

【精密検査】推奨

大動脈経が30mm〜50mm未満の場合は経過観察となることが多いです。医師の判断によっては精密検査となることがあります。

大動脈径が50mmを超えてくると破裂する危険性が高まってきます ので精密検査・治療が必要になります。

 

 

★おまけ★

 

リンパ節腫大

 

 

【原因】身体に炎症が起きてお腹の中のリンパ節が腫れた状態(風邪をひいて首のリンパが腫れてるといいますがそんなイメージです)

悪性腫瘍がリンパ節に転移して腫れている場合もあります。

 

 

【良性or悪性】良性であることが多い

 

 

【経過観察】1〜6ヶ月に1度

リンパ節は誰しもが持っています。小さいものであっても超音波で見えることがあります。

7mm以上をリンパ節腫大としますがサイズが7mm〜10mmぐらいで扁平な場合は炎症によるるものの可能性が高く経過観察となることが多いです。

10mm以上のものや扁平でなく球状のものは悪性腫瘍などによる可能性もありますので精密検査となることがあります。

 

 

腹部腫瘤(もしくは腹部腫瘍)

 

人間ドックの腹部超音波で観察されるのは肝臓・胆嚢・膵臓・腎臓・脾臓・腹部大動脈ですがそれ以外の臓器に腫瘤(もしくは腫瘍)が発見された場合の所見です。

腫瘤(もしくは腫瘍)の臓器特定や良性悪性の鑑別のために精密検査が必要となります。

 

 

以上です、今回解説した腎臓疾患は超音波検査で見つかる代表的なものです。他に解説をしてほしい疾患がありましたらコメントお願いします。

 

人間ドック・健康診断を受診された施設で今回解説した経過観察期間や精密検査(必須or推奨)と異なる場合もありますのであくまで参考としてください。

 

 

以上になります。

次回は、腹部超音波検査でみつかる膵臓疾患の解説をしていきたいと思います。

 

 

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