腹部超音波検査(膵臓疾患)
ども、エコー技師です(*゚∀゚*)。
今回は、腹部超音波検査でみつかる代表的な膵臓疾患についての説明です。
腹部超音波検査は腹部CT検査と違い被爆がないため人間ドックのスクリーニング検査として行われることが多いです。
しかし、所見をみてもそれがなんなのか本当に経過観察で良いのかどうか不安になることがあるのではないでしょうか?
疾患の原因・良性or悪性・経過観察もしくは精密検査(必須or推奨)が必要かを解説していきます。
解説の前に膵管と膵液について理解してほしいことがあります。
膵管とは膵臓でつくられた膵液の通り道(膵臓の中を通ってる細いストローみたいなもの)です。
膵液は食べ物の消化を助ける役割があり膵臓で作られた後、膵尾部→膵体部→膵頭部→12指腸という順番(お尻の方から頭の方に流れます)に膵管を通り流れていき消化の手助けをします。
膵頭部の膵管に腫瘍があり、膵液の流れが止められてしまった場合は膵体部〜膵尾部にかけては膵液が溜まるので管が拡張したりまします。
膵液自体がドロドロして流れが悪くなった場合も膵管は拡張します。
以上のこと理解していると
膵臓疾患のことが理解しやすくなると思います。
膵嚢胞
【原因】炎症によって水ぶくれのような状態になったりすることでできる。
膵管の中に粘液を生産する腫瘍性細胞(癌化する可能性有)ができ、この生産された粘液が膵臓内にたまって(ドロドロした液なので膵管の中をスムーズに通らず溜まるイメージ)袋状になるとできる。
【良性or悪性】悪性腫瘍が潜んでいる可能性有。
【精密検査】必須
炎症などによる膵嚢胞であれば良性ですが、腫瘍性細胞が原因の場合は悪性化する可能性もありますので精密検査が必要です(嚢胞の原因が腫瘍性細胞によるものか他の原因によるものかどうかは超音波では判断できませんので嚢胞があった時点で精密検査)。
膵嚢胞がある場合、ない人に比べて膵癌を発症するリスクは6倍程度になります。
このことからも、膵癌が潜んでいないか精密検査が必要です。
膵管拡張
【原因】膵管に悪性腫瘍ができたり腫瘍性細胞により膵管内に粘液が生産され、膵液の流れが悪くなり拡張します。
【良性or悪性】悪性腫瘍が潜んでいる可能性有
【精密検査】必須
悪性腫瘍により膵管が拡張している可能性がありますので必ず精密検査が必要です。
ただし、加齢や体調により軽度拡張することはありますので一度精密検査を受けられていて、なおかつ膵管径が前回と変化ない場合は経過観察となることがあります。
慢性膵炎
【原因】大量の飲酒により膵臓が酷使され炎症状態が続くとなります。
飲酒の他にストレスや遺伝などでも慢性膵炎になることがあります。
【良性or悪性】慢性膵炎と診断されたら生活習慣の改善や治療が必要です。
【精密検査】必須
膵臓の炎症の程度の確認をするため精密検査が必要です。
また、慢性膵炎の方はそうでない方に比べて膵癌を発症するリスクが4〜8倍です。癌が合併してないかどうか調べるためにも精密検査は必要です。
急性膵炎
【原因】大量の飲酒により膵臓が酷使され急激に炎症を起こした状態です。
飲酒の他に胆石が膵管に入り込んで炎症を起こし急性膵炎になることがあります。
【良性or悪性】急性膵炎と診断された治療と精密検査が要です。
【精密検査】必須
膵臓の炎症の程度の確認をするため精密検査が必要です。
治療は炎症を抑える薬や絶食(食事をとると膵臓が働き出して休めない)や点滴(水分補給)が主になることが多いです。
アルコールはほどほどにしましょう。
膵腫瘍
【原因】膵管の部分が癌化したものが多いです。
【良性or悪性】悪性
【精密検査】必須
膵腫瘍は悪性です。
ただちに精密検査が必要になりますが。
膵腫瘍と腹部超音波で診断されても類似する所見を示す(名前をあげると難しいので省略)良性疾患である場合もあります。
膵臓に悪性腫瘍があった場合切除できる段階で発見(早期)であったとしても5年生存率は30パーセント程度です。
発見が遅れればさらに5年前生存率は下がっていきます。
人間ドックを受診し、精密検査の指示が出た場合は速やかに精密検査を受けるようにしましょう。
以上です、今回解説した膵臓疾患は超音波検査で見つかる代表的なものです。他に解説をしてほしい疾患がありましたらコメントお願いします。
人間ドック・健康診断を受診された施設で今回解説した経過観察期間や精密検査(必須or推奨)と異なる場合もありますのであくまで参考としてください。
次回は腹部超音波検査で見つかる疾患の総まとめをします。
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